歯周病と骨粗そしょう症の二重恐怖

歯周病と骨粗しょう症の関係

骨粗しょう症(骨粗鬆症)と歯周病は、どちらも、治療法や予防、医薬品、食事療法等の日常対策により完全に防ぐことがまだ難しい症状です。
そして、恐ろしいことに、骨粗しょう症(骨粗鬆症)と歯周病は同時に症状として現れ、さらに関連して重症化することが少なくありません。そのため、現在、骨粗しょう症(骨粗鬆症)の簡易検査を行える歯科医院も増えており、歯科定期検診が骨粗しょう症の早期発見につながるようになっています
歯周病と骨粗しょう症(骨粗鬆症)、この2つの病気は、高齢になってから発症、重症化するということ、さらに、痛みもなく気づかないうちに発症、進行してしまいます。そして、嬉しくないことに、これらの病気は関連しているのです。治療や予防対策も知りたいところですが、まずはもう少し具体的に歯周病と骨粗しょう症(骨粗鬆症)の発症・重症化の要因と、二重の恐怖の背景を考えてみましょう。

骨粗しょう症(骨粗鬆症)によって骨がスカスカになることは、身体全体に言えることなので、当然口の中の骨の量も少なくなります。歯周組織の骨が脆くなっていれば、歯周病によってさらに骨を溶かすことはたやすいのです。歯は『歯槽骨』の上に生えています。骨粗しょう症(骨粗鬆症)になると骨量が減り、骨がスカスカになります。歯槽骨も同様でスカスカになりますので歯周病にかかった時に歯槽骨が溶けやすくなります。歯周病にかかったと気づいた時には歯槽骨の破壊が進み、あっという間に歯が抜けてしまいます。したがって、骨粗しょう症(骨粗鬆症)の方は歯周病が重症化しやすいのです。

歯科治療の先進技術「インプラント」と骨粗しょう症の関係

骨粗しょう症(骨粗鬆症)の方は歯周病が重症化しやすいと言う点で歯周病と骨粗しょう症(骨粗鬆症)の関係をお話ししましたが、実は歯科の先進治療技術であるインプラントと骨粗しょう症(骨粗鬆症)も大きく関わりがあります。

インプラントは入れ歯と違い自分の歯のように噛むことができるという点で、歯の喪失を余儀なくされた患者さんの生活を大きく向上させる画期的な技術です。

インプラントと骨粗しょう症の関係

さて、このインプラント治療ですが、イラストの通り歯槽骨に金属を埋め込みます。つまり、インプラント治療は歯槽骨という土台に杭を打ち込むわけですから、骨粗しょう症(骨粗鬆症)でスカスカになった骨には打ち込む事が難しく、また骨にインプラントが定着するのにも時間がかかるなど、手術の可否や成功率に影響してしまうのです。

さらに、骨粗しょう症(骨粗鬆症)の治療薬ビスホスホネート製剤を飲んでいる方は、インプラント等の外科手術を避けた方が良いと言われています。ビスホスホネート製剤は骨の代謝を止め、骨が溶けるのを防ぐ反面、骨の治癒を妨げるためです。また、ビスホスホネート製剤を飲んでいる方が骨に対する抜歯、インプラント等の外科的治療を受けた後に、骨の壊死などによる予後不良のケースがみられるようになっています。

このようなことから、骨粗しょう症の治療・対策・予防を施すということは、歯周病の治療・予防・対策についても同時に実施していることだと言えるでしょう。